1995年アメリカ作品。監督は、『ファイト・クラブ』『ベンジャミン・バトン・数奇な人生』のデヴィッド・フィンチャー。出演は、『スナッチ』『セブン・イヤーズ・イン・チベット』のブラッド・ピット、『ショーシャンクの空に』のモーガン・フリーマン、『大いなる遺産』のグウィネス・パルトロウ、『光の旅人・K−PAX』のケヴィン・スペイシーなど。キリスト教の7つの大罪をテーマに猟奇殺人犯を、定年間際のベテラン刑事と組んだ新米刑事が追い詰めて行く姿を描いたサイコサスペンス作品。
サイコサスペンスの傑作で、日本でも大ヒットした作品なので、説明の必要もないと思いますが、まだ観ていない方で、うつ病の方にはおオススメできません。私は、この作品をはじめて観た時に、1週間以上うつ状態になり、立ち直るまで時間がかかった事を良く覚えているからです。エンディングとしては、史上最悪の結末だと私は思っています。気が滅入っている方や、ショッキングな結末が嫌いな方は、絶対に観ない方がいいでしょう。
サイコサスペンスの最高傑作
『羊たちの沈黙』以来、サイコサスペンスというジャンルが確立された感があります。しかし、この作品以上に衝撃的な映画は、今のところ観た事がありませんし、これから先も、多分出てこないと思います。はっきり言ってしまえば、サイコサスペンスというジャンルの映画は、これだけ観ておけば、他はどうでもいいと思います。
この映画に関する映画評で、必ず出てくるのは、デヴィッド・フィンチャーの終末的な哲学感だと思います。『エイリアン3』『ファイト・クラブ』などにも、彼の宗教的、観念的な価値観が強く反映されていると思いますが、やはり、この作品のメッセージが一番インパクトがあります。日本人の私達には理解しづらい要素ですが、キリスト教はアメリカ人にとって道徳の基本です。7つの大罪について、その一つ一つがなぜ罪なのか考えてみると新しい発見があると思います。それこそがデヴィッド・フィンチャーのメッセージの一つかもしれません。そのメッセージを理解できたら、この映画を楽しむだけではなく、人生を変えるきっかけになるかもしれません。
罪がない?
よく映画やドラマで「何の罪もない人に・・・」というセリフが出てきます。でも本当に全く罪のない人なんて、この世にいるのでしょうか?そんな事をこの映画を観る前から漠然と感じていたのですが、答えが出たような気がします。聖書の中でも、罪人に石を投げつける人々にキリストが「あなた方の中で罪を犯した事がない人がいれば石を投げなさい」と語り、石を投げる人はいなくなった、という話が出てきますが、映画の中で犯人のジョン・ドゥの言葉として語られるこのセリフと、この後のセリフが、最も重要なセリフなのかも知れません。この映画はミレニアムの迫る1995年に発表されました。1000年期の終わり、1999年人類滅亡説などが差し迫った時期だけに、反響も大きかったのかもしれませんが、2000年を超え数年が経った今、危機感を忘れてしまった今の時期こそ、このメッセージを真剣に受け止めるべきかもしれません。