2001年アメリカ作品。監督は『バックドラフト』『アポロ13』のロン・ハワード、出演は、『シンデレラ・マン』『アメリカン・ギャングスター』のラッセル・クロウ、『ホット・スポット』『ブラッド・ダイアモンド』のジェニファー・コネリー、『グッドナイト・ムーン』のエド・ハリス、『ロック・ユー!』のポール・ベタニーなど。実在の天才数学者の波乱万丈の人生を描いた感動作。
天才的な数学学者の実話を元にしたアカデミー賞作品賞受賞の感動作。天才数学者ジョン・ナッシュの波乱万丈の人生を描いた人間ドラマとして素直に見れば、感動作として楽しめます。タフな役柄を演じる事の多いラッセル・クロウが偏執的な学者を好演、さらにアカデミー賞助演女優賞を受賞したジェニファー・コネリーの演技も秀逸で、ロン・ハワード監督によるサスペンスタッチの演出にも見応えがあり、アカデミー賞作品賞にふさわしい充実した作品に仕上がっています。また、ナッシュによるゲーム理論は、数学の世界だけでなく経済や、私たちの生活にも適用できるという意味で興味深く学術的な好奇心も満足させてくれます。ただし、実在のジョン・ナッシュを美化しすぎているという批判もあるので、ジョン・ナッシュについて調べると作り話的な要素が多く、騙された気分になってしまうのが難点です。ジョン・ナッシュの人間性について調べなければ心に残る感動作として楽しめるでしょう。
色々と疑問の残る作品です。主人公のジョン・ナッシュがバイセクシュアルかどうかは、どうでもいいですが、彼は本当に統合失調症のサイコ野郎で、妄想の中に生きていたんでしょうか?まず、誰も解読できない暗号を解読できる天才を、国の諜報機関が一仕事終わってから、はいさようならと任務を解くでしょうか。ナッシュでなければできない暗号解読という仕事は、その後も続けられていたと考えるほうが自然です。第2に、暗号解読の仕事が妄想だと決め付けられて、電気ショックや得体の知れない薬の服用を強制されるのは拷問のようなもので、まともな頭でも異常になってしまうでしょう。そして、ナッシュが社会的な地位を勝ち取るのは、自分を病気だと認め、すべて妄想だと告白してからです。自分の主張がすべて妄想だと認める代わりに社会的な地位を約束されたと考えれば、取引によって地位と名声を得たとも考えられます。本作の中盤まではサスペンスタッチですが、後半は完全にナッシュを病人扱いで描いているのも違和感を感じます。バイセクシャルだと噂されるのも中傷なのかもしれません。そういう意味では、真実は闇の中・・・という後味の悪さが残ります。
複数が価値を分かち合えば敗者は出ない
ゲーム理論の原点になっている発想ですね。勝ち負けにこだわり過ぎるあまり、この世の中は競争社会になり、環境を破壊し人間性を失ってしまうほど冷たい世の中になってしまいました。ナッシュの理論を一番学ぶべきなのは政治家なのかもしれません。
偉大な発見には犠牲が・・・
原子力の発明についても触れられています。原子爆弾、原子力発電所などが大きな破壊と後遺症を生み出し人類を苦しめていますが、偉大な発見も悪用されるとパンドラの箱のようなものなんでしょうね。犠牲が付き物なのではなく、人間の意志の問題だと思います。