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ゴーン・ベイビー・ゴーン
 
Gone Baby Gone

●監督
ベン・アフレック

●キャスト
ケイシー・アフレック
モーガン・フリーマン
エド・ハリス
ミシェル・モナハン

●ナショナル・ボード・オブ・レビュー新人監督賞受賞
●シカゴ映画批評家協会賞:新人監督賞受賞

■ ストーリー ■


 パトリックは、恋人のアンジーと共に地元ボストンで私立探偵をしていた。ある日、4歳のアマンダという少女が誘拐される事件が起きて、アマンダの叔母ビーと叔父ライオネルに依頼され、二人は仕事を引き受けるのだが・・・。


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■ レビュー ■


 2007年アメリカ作品。『アルマゲドン』『パールハーバー』などの主演で有名な俳優ベン・アフレックの初監督作。出演は、ベン・アフレックの実弟で『ジェシー・ジェームズの暗殺』のケイシー・アフレック、『最高の人生の見つけ方』のモーガン・フリーマン、『アビス』のエド・ハリス、『M:I−V』のミシェル・モナハンなど。少女誘拐事件の捜査を通して、人間の正義を問うサスペンス作品。

 俳優として大成功をしているベン・アフレックの初監督作品ですが、ナショナル・ボード・オブ・レビュー新人監督賞、シカゴ映画批評家協会賞:新人監督賞受賞するなど、初監督作品とは思えない重厚な演出で高い評価を得ました。残念ながら日本未公開作品ですが、幸いDVDで発売されています。親友であるマット・デイモンと共同脚本、兼主演で大ヒットした『グッド・ウィル・ハンティング』でメジャーになってから、俳優として大活躍していたベン・アフレックですが、マット・デイモンに比べて知的なイメージが弱く、正直なところ監督として、こんな傑作を世に送り出すとは思いませんでした。重く暗いテーマの作品ですが、アカデミー賞受賞カメラマンであるジョン・トールなど優秀なスタッフに支えられ、ベン・アフレックが、監督として歴史に残る名作を完成させました。モーガン・フリーマン、エド・ハリスなどの名演によって、主要登場人物の繊細かつ激しい感情が生々しく伝わり、善悪の解釈というテーマに深みを与えています。一人で生きて行くことが出来ない弱い存在である子供を守る為に、酷い親から引き離した方がいいのか、あるいは、酷い親でも、親と一緒に暮らすのが幸せなのか?という判断の難しいテーマには深みがあり最大の魅力ですが、誘拐犯は誰なのか?というサスペンス作品としての謎解きも十分に楽しめます。また、ベン・アフレックの地元ボストンで撮影されたという事もあり、ボストンの庶民的な生活の映像には、ドキュメンタリーのような生々しさがあり、『レジェンド・オブ・フォール・果てしなき想い』『シン・レッド・ライン』などの撮影を担当していたジョン・トールによる映像美の美しさも印象的です。アカデミー賞作品賞にノミネートされてもおかしくないような名作だと思いますが、かなり暗いテーマなので、観終わった後に、深いため息をつき、体の力が抜けてしまうようなエンディングなので、明るい気分になりたい方はパスした方がいいでしょう。

人間を形づくるのは、自分以外の何かだ・・・

 一緒に時間を過ごす人間や町の環境などに、私たちの人間性は大きな影響を受け、友人、家族、隣人たち、住む町などによって個人の人間性が形成されていきます。映画のオープニングで、このセリフと共に、ボストンの庶民の生活がリアルに映し出され、私たちは、決して一人で人間性を育てているわけではなく、多く人の影響によって、今の自分があるという事を痛感させてくれます。

他人の行動は、自分の価値観だけでは量れん

 何が善で、何が悪なのか?。人によって善悪の解釈が違い、自分の価値観だけで物事を考えて判断を下す事が最良だとは限りません。この作品の主人公の決断が正しいのか、あるいは間違いなのは、この作品を観た人の判断に委ねられています。ほとんどの人は、主人公パトリックの判断が間違いだと感じると思いますが・・・。


そんな奴は、容赦なくたたきのめす!

 親によって虐待されたり、犯されたりする子供を見てきた刑事が怒りを爆発させるシーンでは、現代社会で、不道徳な親によって苦しんでいる子供たちを守りたいという刑事の善意が痛いほど伝わってきます。冷静に考えれば、暴力では何も解決できないと分っていても、子供を虐待するような酷い人間は、たたきのめしてやりたい!という気持ちは、当たり前のような気がします。



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ガンズン・ローゼズの『ユー・アー・クレイジー』

 主人公のパトリックたちが、聞き込みの為に物騒なバーを訪れるシーンで、ガンズン・ローゼズの『ユー・アー・クレイジー』という曲が使われています。この曲は、ガンズン・ローゼズの『GN’Rライズ』に収録されている曲ですが、歌詞の内容も、曲の雰囲気も、物騒な連中が集まる酒場にピッタリの曲で、ベン・アフレックのセンスの良さが感じられます。

 


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