ソロデビューアルバムにして最高傑作！

　１９８１年発売。スティービー･ニックスのソロデビューアルバム。フリートウッド･マックのメンバーとして『ファンタスティック･マック』『噂』などの名盤に名曲を提供してきたスティービー･ニックスですが、ソロ･アーティストとしてのデビューアルバムも、後にソロ活動での重要なレパートリーとなる『嘆きの天使』『エッジ･オブ･セブンティーン』を収録した名盤になりました。

　フリートウッド･マックの名盤『噂』をレコーディング中にスティービー･ニックスとミック･フリートウッドが恋仲になってしまい、バッキンガム･ニックスの時代から公私共にパートナーだったリンジー･バッキンガムが激怒、スティービー･ニックスに対して露骨に嫌悪感を示すようになったリンジー･バッキンガムは、彼女の曲をフリートウッド･マックでボツにすることが多くなり、スティービーは、自分の曲を発表する為にソロ活動を決意したという経緯があるようですが、信じられないほど完成度の高いゴージャスなアルバムになりました。フリートウッド･マックの曲として発表してもおかしくないような名曲が多く、豪華なゲストミュージシャンの参加により、アレンジも多彩で大成功したアルバムです。スティービー･ニックスのツアーメンバーとしても参加する事になるウエストコーストの有名ミュージシャン、ワディ･ワクテル（Ｇ）、ラス･カンケル（Ｄｓ）に加えて、イーグルスのドン･ヘンリー（Ｖｏ）、ドン･フェルダー（Ｇ）、トム･ペティ＆ハートブレイカーズから、トム･ペティ（Ｖｏ）、マイケル･キャンベル（Ｇ）、ベンモント・テンチ（Ｋｅｙ）、スタン･リンチ（Ｄｓ）、ブルース･スプリングスティーンのバックバンド、Ｅストリートバンドのロイ･ビタン（Ｋｅｙ）、エリック・クラプトンのバックバンドのメンバーだったドナルド･ダック･ダン（Ｂ）など、とにかく凄い顔ぶれでレコーディングされ、スティービー･ニックスの魅力を十分に引き出し、更に音楽性を広げてくれています。８０年代の初頭の作品ですが、まだエレドラやキーボードによる無機質なベース音などが流行する前なので、いい意味で生の楽器の人間味のあるサウンドになっているのも好感が持てます。スティービー･ニックスの人間的な魅力によって友人のミュージシャンが参加してくれているんでしょうけど、それにしても凄いですね。

　このアルバムの収録曲では、映画『スクール･オブ･ロック』でも使用されている『エッジ･オブ･セブンティーン』が一番有名かもしれませんが、トム･ペティとのデュエット曲で、後にスティービー･ニックスの重要なレパートリーになる『嘆きの天使』、ドン･ヘンリーとのデュエット曲『レザー･アンド･レース』『ザ・ハイウェイマン』の２曲も忘れられない名曲です。特に『レザー･アンド･レース』でのロイ･ビタンのピアノの音色の美しさは、秀逸です。スティービー･ニックスは、ソロでのツアーで必ずロイ･ビタンをバックバンドのメンバーとして起用していますが、このピアノのセンスは他の人じゃ絶対にマネできません。ブルース･スプリングスティーン、スティービー･ニックスに愛されたセンスが、このアルバムでも一際輝いています。

 

■　ザ・ハイウェイマン　■

彼は栄光に、彼女は愛に、挑戦し続ける・・・

　アルバムのエンディングを飾るドン･ヘンリーとのデュエット曲。曲の素晴らしいさと、スティービー･ニックスとドン･ヘンリーのヴォーカルの絶妙のハーモニー、そして印象的な歌詞、どれを取っても最高の曲で、ロックスタンダードの一つに入れてもいいような名曲です。

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まさかの廃盤・・・

時代の流れでしょうか、フリートウッド･マックのファンでなくても十分に楽しめる名盤ですが、現在、国内盤は廃盤です。輸入盤なら新品で購入が可能ですが、歌詞カードが欲しいかたは、高額になっている国内の中古ＣＤを購入する必要があります。

 

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