朝鮮戦争のさなか、前線の負傷兵を治療する野戦病院に新任の医師ホークアイが赴任してくる。ホークアイは、すでに従軍医師として働いていたデュークやトラッパーと親しくなり、戦争のうっぷんを晴らそうとするかのように、規律を無視した奔放な態度で従軍していたのだが・・・。

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　１９７０年、アメリカ作品。監督は、『ロング･グッドバイ』『ザ･プレイヤー』などのロバート･アルトマン。出演は、『１９００年』『バックドラフト』のドナルド･サザーランド、『ロング･グッドバイ』『オーシャンズ１１』のエリオット･グールド、『地獄の黙示録』『フェノミナン』のロバート･デュバルなど。前線で負傷した兵士の治療にあたる従軍医師たちの奔放な姿を通して反戦を訴える異色の戦争コメディ。

　ちょっと変わった反戦映画です。１９７０年度作品なので、当時のベトナム戦争に対する反戦意識が意図されていると思いますが、やりたい放題の奔放な医師たちのドタバタを描いたコメディで、シリアスに反戦を訴えるより、戦争を笑い飛ばそうというアイディアによって大ヒットしました。もちろん、軍隊の体質、戦争で利益を上げている企業に対する皮肉もあり、エリオット･グールドが演じる医師が、患者の死を人のせいにするようなロクデナシの医師に怒りを爆発させるなど、アメリカン･ニューシネマらしい正義感も感じられますが、娯楽作品としても楽しめるお色気、スポーツなども盛り込まれ、娯楽作品としても、反戦映画としても楽しめる名作になっています。後に有名になるエリオット･グールド、ドナルド･サザーランド、ロバート･デュバルなどの名優の若き日の姿を観る事ができるという意味でも貴重な作品だと思います。一応、戦争映画ですが、野戦病院が舞台になっているので、前線での激しい戦闘シーンなどは無く、戦争アクションを楽しみたい方には向かないかもしれません。

　６０年代から７０年代にかけて製作されたアメリカン･ニューシネマの名作は、現実の社会を描くという意味では、恐ろしいほどリアリティのある作品が多いですが、残酷なほどリアルな結末に気が滅入る事も多く、精神状態が良くない時には観たくないというのも本音としてあります。しかし、この作品は、エンディングも明るく、とにかく笑い飛ばせばいいかな？という気分にさせてくれるという意味で、特別な魅力があります。さすがカンヌ映画祭グランプリ受賞作品！

自殺に苦痛はない、気分も変わる？

　この作品のオープニングで、こんな歌詞の曲が使われています。自殺を人にすすめるような曲ではじまるというのも異色ですが、人殺しに行くぐらいなら死んだほうがマシというブラックジョークとしての意味が込められているのかもしれません。

 

最後の晩餐？

　自殺しようとする医師の為に、仲間たちが夕食会をするシーンがありますが、このシーンは、ダ･ヴィンチの有名な作品である『最後の晩餐』をイメージしています。キリスト教徒の人が観れば、不謹慎だ！と怒るかもしれませんが、これもロバート･アルトマン監督のユーモアのセンスなので、笑い飛ばしましょう。

●アメリカン･ニューシネマ

●エリオット･グールド主演作品『ロング・グッドバイ』

●ドナルド･サザーランド出演作品

●１９００年

●バックドラフト

●スペース･カウボーイ

●コールド･マウンテン

 

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