ルーシーは、詩人だった母サラが自殺した後、自分の本当の父を探す為にトスカーナ地方に住む母の旧友たちを訪ねる。ルーシーは、母の友人たちと楽しい時間を過ごしながらも、初恋の相手だったニコロとの再会を楽しみにしていたのだが・・・。

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　１９９６年、アメリカ・イギリス・フランス・イタリア合作。監督は、『リトル・ブッダ』『シェルタリング・スカイ』などのベルナルド・ベルトルッチ。出演は、『アルマゲドン』『再会の街で』などのリヴ・タイラー、『ミッション』『仮面の男』などのジェレミー・アイアンズ、『ナイロビの蜂』『コンスタンティン』などのレイチェル・ワイズなど。イタリアのトスカーナ地方をを舞台に、１０代の少女の恋愛を描いた青春映画。

　この作品は、１０代の少女の愛を探す旅として描かれていますが、芸術家肌の監督ベルナルド・ベルトリッチ監督らしい芸術的な映像美を、詩的なセリフで彩った大人の官能映画という趣に仕上げています。登場人物のほとんどが詩人、彫刻家などの芸術家で、浮世離れした優雅な生活をしていて、酔っ払ってマリファナでラリっているお金持ちのブルジョワ的な生活には、ちょっとイライラさせられますが、トスカーナ地方の美しい風景で観光気分を味わえる作品です。イタリア、トスカーナ地方の自然の美しさは、ダイアン・レイン主演の『トスカーナの休日』でも楽しむ事ができますが、『トスカーナの休日』が太陽の光の降り注ぐ健康的なトスカーナの魅力を紹介しているのに比べると、芸術家にとっての視点が強調されている分、ちょっと暗めで怪しげな雰囲気で描かれています。内容的には、詩的なセリフに、ベルナルド・ベルトリッチ監督らしさが感じられ感心させられる部分もありますが、『１９００年』で描かれていたような革命思想、『リトル・ブッダ』で描かれていた仏教的な思想などの強烈なメッセージ性は無く、官能的な描写が前面に出された青春映画なので、深い洞察力による哲学感や思想などを期待するとアテ外れになってしまいます。性をテーマにした作品で色気ばかりが強調され、重みの無い作品ですが、作家役のジェレミー・アイアンズは、絶対的な存在感で作品の価値を高めてくれています。また、リヴ・タイラーの魅力が存分に発揮された作品なので、リヴ・タイラーのファンにはオススメです。リヴ・タイラー、レイチェル・ワイズのなまめかしいベッドシーン、トスカーナ地方の美しい自然と個性的な芸術作品の数々は、ため息が出るほど美しく描かれていますが、ベルナルド・ベルトリッチ監督作品にしては、平凡な作品なので、『リトル・ブッダ』や『ラスト・エンペラー』などの作品のグレードは期待しない方がいいでしょう。

あきらめるな、きっと見つかるよ

　白血病の為、余命わずかな作家アレックスが、ルーシーに語りかけます。何かを必死に探し続けて、なかなか見つからないと絶望的な気分になり、あきらめてしまいたくなりますが、あきらめずに探し続ければ、きっと見つかる！そう信じたいですね。

色ボケ？

　この作品以降、官能的な作品が多くなり、以前のような哲学的な大作を撮らなくなったベルナルド・ベルトリッチ監督は、色ボケ！と言われて酷評される事が多くなります。この作品は、記念すべき色ボケ第１作と言える作品かもしれません。

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