激しい雷雨の翌日、湖畔に住むデビッドは、息子のビリーと一緒にスーパーマーケットに買い物に出かけるが、町全体を包み込んだ霧がの中に潜む正体不明の生物が、人間を襲いはじめた為に店内に込められてしまう。デビッドたちの他にも多くの買い物客が居合わせたが、正体不明の生物の存在を信じない者や、聖書の終末予言が現実になったと信じる者などで、人々は対立しはじめる。何人かが犠牲となり、デビッドは脱出を試みるのだが・・・。

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　２００７年アメリカ作品。『ショーシャンクの空に』『グリーン・マイル』『マジェスティック』などで知られるフランク・ダラボン監督の作品。出演は、『シン･レッド･ライン』『マグノリア』のトーマス･ジェーン、『この森で、天使はバスを降りた』『イントゥ･ザ･ワイルド』のマーシャ･ゲイ･ハーデンなど。スティーブン・キングの原作をフランク・ダラボン監督が自ら脚色、監督を務めています。公開当時、衝撃のエンディングとして話題になったホラー作品です。

この作品は強烈です！公開当時、衝撃的な結末という事で話題になりましたが、本当に最悪のエンディングであり、フランク・ダラボン監督作品の中で最もメッセージ性の強い作品だともいます。前作『マジェスティック』までは、１９５０年代、古き良き時代のアメリカ人の人間性を描いて、現代人が忘れている寛大な心、他人を思いやる優しさなどを思い出させるようなソフトな手法でしたが、この作品では、手加減無しに、利己的な現代人を描く事で、強烈なパンチをもらったような強いメッセージにショックを受けると思います。狂信的な女性を演じているマーシャ・ゲイ・ハーデンは個性的ですが、その他の登場人物は、どこにでもいる普通のキャラクターで、ありふれたキャラクターの一人一人が、私たち現代人を象徴しているように描かれています。

人間は根本的に異常な生き物だよ

　この作品では、様々なタイプの人間像が描かれています。自分の権利ばかりを主張する人間、狂信的な人間、有純不断な人間などなど色々ですが、この映画に出てくるキャラクターは、典型的な現代人の姿を描いているような気がします。ある日本のコメディアンの方が、なぜ成功したと思いますか？と聞かれて『みんな自分のことだと思っていない、他人事だと思っているから笑えるんですよ』と答えていましたが、この作品を観た方が同じように、自分の事だと思わないなら、この作品を作ったフランク・ダラボン監督のメッセージはムダになってしまうかもしれません。私たち現代人のほとんどは、多かれ少なかれ、この作品に出てくる現代人の要素を持っているはずです。

みんな地獄へ落ちろ

　ＳＦ映画の傑作『猿の惑星』でも同じセリフが出てきますが、自分のことばかり考えて、人を助けようとしない人間に向かって、この言葉は、強烈なインパクトがあります。このセリフを言った女性が、この映画の最後のオチで登場するのも、印象的です。

オリジナルの脚本

　原作はスティーブン・キングの脚本ですが、フランク・ダラボンは、かなり脚本を手直ししています。エンディングも変更されていますが、スティーブン・キングも、このエンディングは絶賛していたそうです。脚本の変更によって、ホラー映画というよりは、現代の人間性の独善的な生き方が強調され、最後の最後で、誰が正しかったのかという結果でオチがつく素晴らしい脚本になっていると思います。

●ショーシャンクの空に

●グリーンマイル

●マジェスティック

●ミスト

 

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