2007年アメリカ作品。監督は『マイノリティ・レポート』のマイク・バインダー
、主役は、コメディ系の映画『ウエディング・シンガー』『ビッグ・ダディ』『もしも、昨日が選べたら』などの主演で有名なアダム・サンドラー、『ブルワース』『天使のくれた時間』などに出演しているドン・チードル、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ、『アルマゲドン』などで有名なリブ・タイラーと、『マトリックス・リローデッド』『コラテラル』などに出演して注目を浴びているジャダ・ピンケット・スミス、さらに名優ドナルド・サザーランドも出演しています。9.11同時多発テロで家族を失った自殺願望の強い男が、旧友との再会で立ち直って行く姿を描いた人間ドラマ。
9.11同時多発テロの遺族を主人公にしていますが、9.11同時多発tテロの映像は一切出てきません。この事件によって、家族を失った被害者の心の病を通して、大切な家族や、友人を失った経験のある人の喪失感と、生きる勇気を取り戻すまでが描かれているので、大切な人を亡くした経験がある人なら、共感できると思います。また、人間同士の絆の大切さを思い出させてくれます。また、判事役で出演しているドナルド・サザーランドの威厳と風格のある存在感には、ストーリーと関係の無いところで、ミョーに感動させられます。
アダム・サンドラー主演作品なので、コメディと思って観るとアテが外れますが、しずかに、じっくりと感動できる作品で、アダム・サンドラーらしいロックのネタも楽しめます。また、家族を失った男の苦しみを描いた暗いテーマの作品なので、ニューヨークの夜のシーンが多いですが、もの悲しさが残るマンハッタンの夜景が絵画的なセンスで映し出され、とても印象的なの美しさがあります。主演のアダム・サンドラーはシリアスな役に徹していて、今までの役どころとは全く違ったキャラクターを演じています。この作品で、一番のユーモアの要素は、アランが勤める歯科クリニックの受付のメラニーの豊かな表情と毒舌です。コメディ映画ではないので、爆笑というほどのユーモアではありませんが、暗く沈みがちな空気に、ちょっとリラックスできる程度のユーモアにホッとさせられます。アダム・サンドラーの主演作品の中では最も感動的な作品ですが、大切な人を失ったばかりで、立ち直れていない人には、かなり落ち込んでしまう作品なので、気持ちが落ち着いてから観た方がいいと思います。
友達だから、すべて話し合いたい
家族全員を一度に失ってしまったチャーリーに対して、大学時代の友人であるアランは、何とか力になりたいと考えます。人間にとって、家族と同じように、あるいはそれ以上に、友人とは大切な存在だという事を実感させてくれる作品だと思います。共通の趣味を持ち、喜びも悲しみも全て共有し、お互いに励まし、啓発を与えられるような存在は、一生を通じても、そんなに多くは出会えません。苦しんでいる友人を見捨てることができないというのは、当たり前のような気がしますが、現代社会では、そんな強い絆が少なくなっているのかもしれません。
プリテンダーズの歴史的なデビューアルバム
チャーリーが、プリテンダーズのデビューアルバムを嬉しそうに手にした後、このアルバムに収録されている『ストップ・ユア・ソビン』をBGMに、チャーリーとアランが、スクーターの二人乗りでニューヨークの街を走るシーンは、この映画の中で最も開放的で、明るい場面になっています。曲のイメージとスクーターで走るシーンが見事にマッチしています。