2002年アメリカ作品。監督は『天使のくれた時間』などのブレット・ラトナー、出演は、『ファイト・クラブ』『アメリカン・ヒストリーX』などのエドワード・ノートン、『羊たちの沈黙』『レジェンド・オブ・フォール』などのアンソニー・ホプキンス、『メイド・イン・マンハッタン』『ナイロビの蜂』などのレイフ・ファインズ、さらに、『あの頃ペニーレインと』のフィリップ・シーモア・ホフマン、『パンチドランク・ラブ』のエミリー・ワトソンなど。サイコサスペンスの名作『羊たちの沈黙』の主人公ハンニバル・レクター博士をを描いたサイコサスペンスシリーズ3作目。
『羊たちの沈黙』は、サイコサスペンスという新たなジャンルを作った名作で、続編としてリドレー・スコット監督の『ハンニバル』も製作されましたが、この作品は、『羊たちの沈黙』『ハンニバル』の続編ではなく、『羊たちの沈黙』以前のハンニバル・レクター博士を描いた作品です。驚異的な知性と狂気で、サイコサスペンスファンの間で絶大な人気のあるハンニバル・レクター博士を演じるアンソニー・ホプキンスは、この作品でも、前2作以上に圧倒的な存在感を見せています。また、連続殺人犯レッドドラゴンを演じるレイフ・ファインズも、幼少の頃の虐待によってモンスターになってしまった悲劇的な犯人を熱演し、レクター博士に負けないほどの強烈なキャラクターを演じ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エミリー・ワトソンなどの名優の名演によって恐怖感が高められホラー作品としても十分に楽しめる作品に仕上がっています。ハンニバル・レクター博士を主人公にした作品も3作目なので、さすがに斬新さはありませんが、サイコサスペンス作品としては、上質な仕上がりで、心理的なかけ引きやショッキングな映像などサイコサスペンスファンを満足させてくれると思います。ただ、サイコサスペンスらしいグロテスクな映像が多いので、グロい映像が苦手な方はパスした方がいいと思います。サイコサスペンスが好きな方でも、食事時には見ないほうがいいでしょう。
想像力が無けりゃ・・・
驚異的な頭脳を持つレクター博士と、一般の人間の違いは想像力。知的だと言われる人は、それぞれ抜群の記憶力、計算力など得意分野がありますが、最も重要なのは、やはり想像力なのかもしれません。この世にある人工物の全ては、人間の想像力が源になっているわけですから、ある意味では、想像力の有無が人間の存在価値を決定しているのかもしれません。