CIAの工作員として中東の現場で諜報活動をするフェリスは、非人道的な指令を送ってくる彼の上司ホフマンに不信感を抱いていた。フェリスは、ヨルダンでの任務を遂行する為、現地入りし、隣国からの協力を得て行動を開始するのだが・・・。

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　２００７年アメリカ作品。監督は『ブラックホーク･ダウン』『プロヴァンスの贈りもの』の リドリー･スコット、主演は『グラディエーター』『シンデレラ･マン』などのラッセル･クロウ、『タイタニック』『ブラッド･ダイヤモンド』のレオナルド･ディカプリオなど。中東で諜報活動を行うＣＩＡのエージェントと、ＣＩＡ本部で指令を下す指揮官の対立を描いたサスペンスアクション。

　独特の映像美と、リアルなアクション描写に定評のある リドリー･スコット監督が、レオナルド･ディカプリオ、ラッセル･クロウという演技派俳優を起用したスパイアクション作品で、諜報活動の緊張感、ＣＧをほとんど使わないリアルなアクションが魅力の作品です。最新のシステムを使ったＣＩＡの諜報活動の様子を観る事ができるというだけでも、スパイ映画ファンには魅力だと思いますが、数多くの独立系テロリスト集団が存在する中東を舞台にしているので、テロリストの活動の実態などにも生々しさが感じられ、国際情勢の微妙な利害関係、かけ引きなどがリアルに描かれていて、最後まで緊張感のあるストーリーを楽しめます。実話をベースにしているわけでは無いので、特定の事件やテロリストグループの暴露物というわけではありませんが、諜報活動の成否で国際情勢が激変してしまう不安定な世の中、情報の為には、人を使い捨てにする厳しい世界を痛感させてくれる作品で、国を代表する人間個人のプライドによっても、政局が左右されてしまうという危うさにはゾッとさせられます。ＣＩＡの諜報活動をストーリーの軸にしながら、世界の置かれている不安的な状況、宗教や貧困が原因で起こる紛争などをメインテーマにしていますが、レオナルド･ディカプリオ演じるフェリスの恋愛も物語の重要な要素になっているので、諜報活動という非人間的な世界の冷たさだけでなく、恋愛も含めて、人間味のあるドラマとしても楽しめます。

殉教して天国に行くより、アメリカに来たいか

　ＣＩＡに情報を提供するテロリストのメンバーが、アメリカへの亡命を熱望します。殉教すれば天国に行けると、指導者に言われても、やはり、死を恐れる人や、天国を信じられない人もいるようです。テロを実行して殉教するか、自分の国を裏切ってアメリカへ行くかという選択ですが、どっちにしても天国からは遠いような気がします。

この世界には、あまりに多くの貧困、幻滅、怒り、苦難がある

　言うまでもありませんが、この世界には、豪邸に住み贅沢な暮らしをしている人間は、ごく一部で、飢えに苦しむ人の方が圧倒的に多いのが現状です。誰が悪い？どこの国が悪い？と言い切ることはできませんが、現在の先進国と呼ばれている国の経済は、後進国の安い材料や人件費によって成り立っているのが現状です。ちょっと気が滅入る現実ですが、私たちの生活も、後進国の人々の犠牲によって成り立っている部分があり。そう考えてみると、私たち日本人も、世界の貧困に全く責任が無いわけではないような気がします。

大切なのは、その人の本質よ

　フェリスは、病院で知り合ったアイシャという看護婦の女性に好意を抱きます。仕事や財産など目先の魅力にだまされず、人間の本質に価値を見出すアイシャのような女性は、アメリカや日本などの先進国では少なくなっているような気がします。こんな女性なら、フェリスに限らず好意を持つのは当然でしょう。

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