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ナチュラル・ボーン・キラーズ
 
Natural Born Killers

●監督
オリヴァー・ストーン

●キャスト
ウディ・ハレルソン
ジュリエット・ルイス
Jr. ロバート・ダウニーJr.
トミー・リー・ジョーンズ

●ヴェネツィア映画祭審査員特別大賞受賞

■ ストーリー ■

 
 史上最悪の連続殺人犯として知られるカップル、ミッキーとマロリーは、マスコミの過激な報道により、若者のヒーローとして有名になってしまう。殺人を繰り返しながら逃避行を続ける二人だったが、ついに逮捕され刑務所に収監されるが、逮捕から一年後、人気TVキャスター、ウェイン・ゲールのインタビューに応じたミッキーは、看守を射殺し逃亡を企てる・・・。

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■ レビュー ■

 

 1994年アメリカ作品。監督はプラトーン』『JFK』などのオリヴァー・ストーン 。出演は、『幸福の条件』『心の指紋』などのウディ・ハレルソン、『ギルバート・グレイプ』などのジュリエット・ルイス、『ゾディアック』のロバート・ダウニー・ジュニア、『天と地』『メン・イン・ブラック』などのトミー・リー・ジョーンズ。連続殺人犯のカップルの逃避行を描いたバイオレンスアクション。

 連続殺人犯がマスコミの影響で人気者になってしまうという内容で、ポップでエロゲロねコミックバイオレンスという感じですが、オリヴァー・ストーン監督らしいメッセージ性の強い作品になっています。映画で取り上げるテーマが革新的でアカデミー賞も受賞しているオリヴァー・ストーン監督ですが、一部から芸術性の欠如を批判される事も多く、この作品では、そんな批判に対抗するような独創的な映像で仕上げた作品で、ヴェネツィア映画祭審査員特別大賞受賞を受賞しました。原案はバイオレンスアクションで評価の高いクエンティン・タランティーノですが、生々しくリアルなバイオレンス作品ではなく、コミックヒーローものの実写版のような遊び心あふれる作品になっていてクエンティン・タランティーノ監督作品のようなリアルな暴力描写はありません。カラー映像、モノクロ映像、VTR映像を複雑に編集し、かなりコラージュされた映像が多いので、現実味のある映像ではなくアニメ的な印象の強い映像で、血みどろのシーンが多い割には生々しさの無い映像なので、生々しいバイオレンスが苦手な方には観やすいと思います。ただし、オリヴァー・ストーンは、芸術センスの無い監督と批判された事が、相当気に障ったのか、映像処理は、ちょっとやり過ぎで、コミック的なキャラクターの描き方には個性があるものの、カラーとモノクロを交互につなぐ手法には斬新さも意味づけも無く、極端に強い照明の光もに目が疲れます。現代社会の狂気、マスコミに踊らされる大衆、マスコミ批判、生と死をテーマにした内容はメッセージ性が強く楽しめますが、ここまで複雑な編集をするよりは、カメラマン、撮影監督を変えてしまったほうがいいような気もします。仏教徒であるオリヴァー・ストーン監督らしい死生観と現代社会に対する批判が込められた映画なので、メッセージ性が強く内容の深い作品ですが、リアルなバイオレンスを好む方にとっては、ゴチャゴチャした観にくい作品と感じるかもしれません。

視聴者のバカどもが・・・

 人気キャスターが視聴者をバカにするような発言をする場面がありますが、こういうマスコミの態度が現実なのかもしれません。絶えず映像的な刺激を求め、スキャンダルに夢中になる視聴者の真理を読んで番組を制作しているマスコミの実情を描いているのでしょうけど、そんな手法に、まんまとのせられてしまっている私たち視聴者にも問題ありですね。

悪党は死なないってさ

 早死にするのは善人だけ、憎まれっ子世にはばかる、なんて言葉もありますが、みんなに親しまれ愛されるような善人に限って早死にしてしまうような気がします。長生きしている人が悪人だとは言いませんが、長生きしている事が本当に幸せなのか?、長生きする事によって苦しみが多くなっているだけなんじゃないか?そんな事を感じさせる場面も多い作品です。

 

目に見える世界は、幻覚なんだ

 『天と地』の撮影中に仏教徒になったと公言しているオリヴァー・ストーン監督らしい思想が、ミッキーのインタビューシーンのセリフに込められています。『みんな過去に何かしらの罪を犯している』『死なば多くのみを結ぶ』など、死生観を考え直したくなるような深遠な言葉には、驚かされます。

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くだらない映画ばかり

 ミッキーがモーテルの部屋で『ハリウッドはロマンを失っちまったのかね』と、最近の映画を批判する場面がありますが、その時にテレビの画面で映し出されているのが、オリヴァー・ストーンが脚本を担当したブライアン・デ・パルマ監督の『スカーフェイス』、自分の脚本を否定的に考えているのかどうかは、分りませんが、インタビューで度々ハリウッド映画を批判しているオリヴァー・ストーン監督らしい皮肉が込められています。

ガンズン・ローゼズのプロモーション・ビデオ

 この作品の映像的なアイディアは、アメリカの人気ロック・グループ、ガンズン・ローゼズの『シンス・アイ・ドント・ハヴ・ユー 』のプロモーション・ビデオでも取り上げられていて、赤鬼のような悪魔のキャラクターも登場しています。

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