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恐怖の頭脳改革

 

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恐怖の頭脳改革
Brain Salad Surgery
1. 聖地エルサレム
2. トッカータ
3. スティル…ユー・ターン・ミー・オン
4. 用心棒ベニー
5. 悪の教典#9
1. Jerusalem
2. Toccata
3. Still...You Turn Me On
4. Benny the Bouncer
5. Karn Evil 9

悪夢を体感させる名盤!

 1973年発売、EL&Pの5枚目のスタジオレコーディングアルバム。イギリスのヒットチャートで最高位2位、アメリカでは11位を記録したEL&Pの最高傑作。アルバムジャケットのデザインは、リドレー・スコット監督の映画『エイリアン』のデザイナーとしても有名なH・R・ギーガーがアルバムジャケットのデザインを担当、作詞家として、キング・クリムゾンの作詞専門のメンバーとして活躍していたピート・シンフィールドが参加するなど、前作までのスタジオレコーディングアルバムよりも意気込みが感じられ、プログレファンの間でもEL&Pの最高傑作と評価される名盤です。

 このアルバムの発表前にEL&Pは、マンティコアというレコード会社を設立。自社レーベルからの第一弾として気合が入っていたという事もあり、アルバムジャケットも、音楽性を象徴するのに十分な芸術性の高いアートワークで、キング・クリムゾンのコンセプトリーダーだったピート・シンフィールドに協力してもらうなど、高度なテクニックと音楽性に、深遠な歌詞、アートワークが加わった最高傑作に仕上がりました。当時プログレッシブロックのライバルだったピンク・フロイドキング・クリムゾンイエスなどと比べると、歌詞の内容で評価が低くかったEL&Pは、クラッシックをテーマにしてテクニックをアピールするだけの中身の無いバンド、主張するものが何も感じられないなど、音楽評論家のレスター・バングスなどに酷評される事もありましたが、本作では、抜群のテクニックと音楽的なイマジネーションだけでなく、ピート・シンフィールドの歌詞によって、更にイマジネーションが広がるという化学反応もあって、誰にも批判できないコンセプトアルバムの傑作として絶対的な評価を得ています。音楽的には、当時は革新的だったシンセサイザーを大胆に導入する事によってスケールが大きく、立体的な音響空間を実現、まるで生き物のように動き回るようなキーボードサウンドは、今聴いてもゾッとするような生命力に満ちています。プログレファンにはもちろん、ロック史に残る名盤として一度は聴いてもらいたい名盤です。

 個人的にはカール・パーマーのドラムが大好きだったので、まるで戦車が暴走しているような手数の多いカール・パーマーのドラムを目当てにEL&Pのアルバムを聴いているようなところがありましたが、このアルバムは、あらゆる面で圧倒されました。グレッグ・レイクの癒し系のヴォーカルを楽しめる『スティル…ユー・ターン・ミー・オン』、ベーシックなロックンロールのパターンを遊び心たっぷりに演奏する『用心棒ベニー』の2曲は、ポップセンスもあってリラックスして楽しめますが、その他の曲では、アルバムジャケットのイメージ通り、恐怖の神殿に閉じ込められてしまったような緊張感に背筋が寒くなります。信じる信じないは別にして、私は、お化けだとか霊だとかに恐怖を感じる事が無いので、ほとんど怖いもの知らずですが、このアルバムの持つ独特の雰囲気には、ゾッとしてしまいます。抜群の音楽センスとテクニックを楽しめるだけでなく、リスナーを戦慄させる音のマジックを持つ特別なアルバムとして、私にとっては、特異な存在です。

    

 

■  スティル…ユー・ターン・ミー・オン ■

 グレッグ・レイクの持ち味を生かした名曲。完璧なコンセプトアルバムとしての緊張感に満ちたアルバムは、そのテンションの高さで聴き疲れしてしまわう事も多いですが、美しいアコースティックギターの響き、優しいグレッグ・レイクの歌声が、しばし癒しの空間を与えてくれて、ホッとさせてくれます。

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DVDオーディオSACDでも発売!

 歴史に残る名盤なので、様々なバージョンで発売されていますが、今では規格が終了してしまったDVDオーディオでも発売されていました。DVDオーディオでは、ロック史に残る名盤がジャンルを問わず発売されていましたが、プログレ系では、イエスの『こわれもの』、キング・クリムゾンの『クリムゾンキングの宮殿』『レッド』などが発売されていました。EL&Pの代表作として、本作もDVDオーディオで発売されていましたが、現在は廃盤で中古品でしか入手できません。現在、ハイブリッドSACDでも発売されていて、通常のCDプレイヤーで高音質サウンドを楽しむ事ができます。最高の音質を求めるなら、やはりDVDオーディオがベストだと思います。1万円弱と高額でしたが中古で入手したDVDオーディオのサウンドは、ただでさえ背筋が寒くなるサウンドが、本物の音の力、生々しさで、グレッグ・レイクが目の前にいるんじゃないかと錯覚してしまうほどリアルで、価格以上の価値を実感させてくれました。ボーナス・トラックとして『ラッキーマン』が収録されていますが、5.1chで名曲『ラッキーマン』が楽しめるというだけでなく、アルバムのエピローグ的に見事にハマッていて、心地よく楽しめます。その他に収録されているボーナス映像は、オマケ程度ですが、信じられないほどリアルな音質は感動的です。ただし、本作のDVDオーディオは、中古市場でも価格が高騰しているので、ソフト代を節約したい人、5.1chシステムが無い人は、SACDの方がお買い得だと思います。

 

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