1. Ain't Got You
2. Tougher Than the Rest
3. All That Heaven Will Allow
4. Spare Parts
5. Cautious Man
6. Walk Like a Man
7. Tunnel of Love
8. Two Faces
9. Brilliant Disguise
10. One Step Up
11. When You're Alone
12. Valentine's Day

こんな悲しいアルバムは・・・

　全世界で大ヒットを記録した『ボーン・イン・ザ・ＵＳＡ』の後の作品で１９８７年に発表。全米1位記録しましたが、極めてプライベートなテーマの作品が多い作品で、当時、結婚生活が暗礁に乗り上げていたブルース・スプリングスティーンの苦悩が強く感じられる内容になっています。『タファー・ザン・ザ・レスト』『スペア・パーツ』『トンネル・オブ・ラブ』『ワン・ステップ・アップ』などを収録。

　ブルース・スプリングスティーンのアルバムの中で、最高傑作はどれか？と尋ねられたら、私は、迷わずこの作品をピックアップします。このアルバムを購入する前は、『ボーン・イン・ザ・ＵＳＡ』に比べて、かなり、おとなしくなっているという評判が多く、ちょっと値段の安かった輸入盤のアナログレコードで購入しましたが、唖然としました。コレだから一般の評判はアテにならない・・・。歌詞を読まずに聴いていても、恐ろしくなるほど、人生や愛に落胆している悲しみが伝わってくる内容で、すっかり落ち込んでしまいました。結婚式向きのラブソング『タファー・ザン・ザ・レスト』、ちょっとカラ元気な『オール・ザット・ヘヴン・ウィル・アロウ』を除けば、人生の試練に押しつぶされそうな人や、愛を信じられなくなってしまうような曲ばかりで、前向きに生きていこうという気分にはなれません。多分、ブルース・スプリングスティーンの人生の中でも、最も悩みの多い時期に作られたアルバムであり、リアルに苦悩の色が出ているからだと思いますが、アルバムを聴いて、これほど落ち込んだことはありませんでした。

　ブルース・スプリングスティーンの信者である友人Ｍに、『今度のアルバムは凄いな』と声をかけると、『うん・・・』、と一言、まるで友人の悩みを聞いて一緒に落ち込んでいるような雰囲気で、それ以上はアルバムの内容については話ができませんでした。１曲目の『エイント・ガット・ユー』で、『金も、地位も名声も得たけれど、お前だけが手に入らない・・・』と歌う、悲しみと怒りに満ちたヴォーカルが、一番悲しいかもしれません。

 

 

■　ワン・ステップ・アップ 　■

　この曲はシングルカットされ、ＰＶも製作されましたが、落胆して、何かをあきらめてしまったようなブルース・スプリングスティーンの表情も印象的でした。メロディも、コーラスも美しい名曲ですが、やはり、歌詞の内容が印象に残ります。

互いに厳しい教訓を与え合ってるのに

二人とも、少しも学んではいない

いつも同じことのくりかえし

一歩前進、二歩後退・・・

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クリスマスには聴かないでください

　 ブルース・スプリングスティーンの最高傑作だと思います。自信を持ってすすめられアルバムなので、クリスマスプレゼントとして友人に贈った事があるのですが、怒られたことがあります。１１曲目の『ホェン・ユー・アー・アローン 』の歌詞で、何度も『ひとりぼっちの時は、ひとりぼっち』と何度も繰り返されるので、孤独なクリスマスを過ごしているときは、傷口に塩をすりこまれるような、嫌な思いをしてしまうんです。クリスマスに限らず、孤独な生活に悩んでいる方は、このアルバムは聴かないでください。

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