映画『ハード・デイズ・ナイト』のヒット曲が満載!
1964年発売のビートルズのサードアルバム。日本では、ビートルズ主演の『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!
』という同名タイトルの映画が公開され、このアルバムも日本での発売当初は、『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! 』というタイトルで発売されていましたが、最近では、原題通りの『ハード・デイズ・ナイト』というタイトルに変更されています。ビートルズ初主演映画のサウンドトラック・アルバムとしても楽しめます。『ハード・デイズ・ナイト』『キャント・バイ・ミー・ラブ』などビートルズらしいポップなヒット曲、『恋におちたら』『アンド・アイ・ラヴ・ハー』などのバラードの名曲を収録し、前2作品と決定的に違うのは、全曲ビートルズのオリジナルナンバーで構成され、初期ビートルズのソングライターとしての才能が生かされたオリジナル曲をタップリと楽しめる点でしょう。前2作品ではカヴァー曲が多かった為、アレンジも古典的なスタイルを踏襲したもの多めでしたが、本作では、楽曲もオリジナルになった事によって、アレンジも、昔アーティストのスタイルに捕らわれずにビートルズのオリジナリティが感じられるようになりました。
デビューアルバムとセカンドアルバムは、ビートルズ初期の名曲を収録してはいるものの、レコード会社に急かされて、十分なオリジナル曲もないままレコーディングされた為、ビートルズのメンバーのお気に入りの曲をカヴァーして、遊び心を取り入れたアルバムでしたが、このアルバムではオリジナル曲のみになり、前2作品と比べてビートルズの才能が十分に生かされた作品になり、バンドとしての成長もハッキリと感じられます。デビューアルバムから本作までの3枚の中では、一番完成度が高く、ビートルズの曲を楽しめる作品になっています。音質も前2作に比べて、かなり向上しているので聞きやすいと思います。映画『ハード・デイズ・ナイト』で使用されている曲のほとんどが収録されているので、サウンドトラックのように楽しめますが、映画の中で最大の盛り上がりを見せる『シー・ラブズ・ユー』は収録されていません。『シー・ラブズ・ユー』がどうしても聴きたい方は、シングルヒットを集めた『パストマスターズ』に収録されているので、こちらを購入するしかありません。この点だけは注意した方がいいでしょう。
ビートルズは大好きなんですが、どちらかと言うと初期の作品より後期の作品が好きなので、映画『ハード・デイズ・ナイト 』も、最近まで見る機会がありませんでした。どうせアイドル映画だろうと軽く考えていましたが、演奏シーンの迫力、リアリティには驚きました。80年代以降MTVが定着してからは、ロックミュージシャンの演奏シーンの映像は珍しくなくなりましたが、この映画の演奏シーンのセンスの良さは格別です。モノクロ映像で派手なアクションなどは一切無いにも関わらず、演奏中のビートルズのメンバーの魅力を最大限に生かし、ライブ演奏の迫力も生々しく伝えてくれる素晴らしい映像で、目の前でライブを観ているような臨場感を味わえます。ビートルズファンには絶対オススメです。