ロック史上最高のメロディメイカー
ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人のメンバーで1962年にデビュー。世界中で最も有名で成功したロックバンドで、ローリング・ストーンズとともに、ロックミュージックの原型を築いた偉大なバンドであり、ロック史上最高のメロディーメイカーです。
ローリング・ストーンズがブルースの影響を強く受けた音楽性で、ロックの反逆性、反体制的なスタイルを築いたのに対し、ビートルズはメロディ重視の音楽性だった為に、ロックファンだけではなく広いファンを獲得し、メンバー4人のルックスの良さもあってアイドル的な人気もありました。ビートルズの作品の多くは、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの作品ですが、後期のビートルズでは、ジョージ・ハリスンも作曲の才能を開花させ、天才ソングライターが3人いるという凄いバンドだったわけです。60年代にビートルズが美しいメロディは全て作ってしまったから、新しいメロディは中々作れない、と言われるほどです。
素晴らしいメロディメイカーとしてだけではなく、曲のアイディア、アルバムコンセプトなど、後のロックミュージックに多大な影響を与える革新的なアイディアを次々に生み出したバンドとしても有名です。例えば、ギターのリフを主体にした曲作りはハードロックの原型となっていますし、アルバム全体を一つのコンセプトで統一する方法は、ピンク・フロイドなどのプログレッシブバンドのアルバムにも受け継がれています。今では当たり前になっている自分たちの曲を自分たちのバンドで演奏するというバンドの形もビートルズが最初なので、直接的な影響を感じない最近のバンドでも、間接的に何らかの影響を受けているはずです。1960年代中ごろからエリック・クラプトンのようなテクニック的に優れたミュージシャンが多く活躍するようになって、ビートルズのメンバーの演奏力が低いと批判されたようですが、アレンジのアイディアなどは、とにかく飛びぬけた才能を感じさせました。
1960年代の他のアーティストと比べて、ビートルズのLP、CDは、極端な古さを感じさせません。これは、プロデューサーのジョージ・マーティンの手腕、先見の明による所が大きいと思います。今と比べて、1960年代は楽器の音質もあまり良くなく、レコーディング機材も多機能ではなかった為、全体にエコーをかけて、まるで大浴場で演奏しているような音で録音するのが主流でした。しかし、ジョージ・マーティンは、あえてエコーやリバーブ処理に頼らずにレコーディングして、1970年代に発売されたアルバムと変わらない音質で音源を残すことができました。さすがに今聴くと古さを感じさせますが、他の60年代のアルバムと比べると全くグレードが違います。偉大な作品を良質な音質で残してくれたジョージ・マーティンには、ビートルズのメンバーも感謝していると思います。