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1. 分かってくれるかい
2. シーズ・ア・ウーマン
3. コンスティペイテッド・ダック
4. エアー・ブロワー
5. スキャッターブレイン
6. 哀しみの恋人達
7. セロニアス
8. フリーウェイ・ジャム
9. ダイヤモンド・ダスト

ギタリストは必聴

　革新的なアルバムが発表されると、それ以降の音楽を変えてしまいますが、このアルバムも、そんな名盤の一つだと思います。ヴォーカル無しのロックアルバムというスタイルでロック界に衝撃を与えました。いわゆるフュージョンというジャンルの基になったアルバムと言えるでしょう。レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが「ギタリストにとって教科書のようなアルバムだ」と語っていましたが、「プロのギタリストにとって・・・」と言った方がいいと思います。プロのギタリストにも強いショックを与えたアルバムですから、アマチュアのギタリストが聴いたらショックのあまり自信喪失してしまいますから・・・。第２期ジェフ・ベック・グループのキーボディスト、マックス・ミドルトンのプレイが聴けるのはファンにとってはたまらない所ですが、ベースのフィリップ・チェン、ドラムのリチャード・ベイリーも凄まじいプレイでジェフ・ベックをサポートしています。ギタリストに限らず、ベース・ドラム・キーボード、どのパートもロック系のミュージシャンにとっては少なからずショックを与えたと思います。私も昔ドラムをやっていましたが、当然ショックを受けましたし、落ち込みました（苦笑）

　ありふれた言い方ですが、ヴォーカル無しでも、ギターが歌っています。ジミ・ヘンドリクスと並んで、ギターでヴォーカルのように歌える数少ないギタリストの一人であるジェフ・ベックだからこそ、こんな大胆なアルバムが可能になるのですから。ミュージシャンだけではなく、広くロックファンに愛聴されている理由は、「シーズ・ア・ウーマン」を筆頭に、ギターが歌うポップな曲が多く、かなり聴きやすいアルバムになっているからだと思います。また「スキャッター・ブレイン」のように、プログレ・ハードな名曲、名ギタリストロイ・ブキャナンに捧げられた「悲しみの恋人達」などバラエティに富んで、何度聴いても飽きない名盤になっています。

　このアルバムのプロデューサーは、ビートルズのプロデューサーとして有名なジョージ・マーティンが担当しています。ビートルズの後期のアルバムは、同時代の他のアーティストのアルバムと比べて、今聴いても、それほど古さを感じさせませんが、これもジョージ・マーティンのプロデュース能力の高さのおかげだと思います。このアルバムもジョージ・マーティンが担当していなければ、これほど完成度の高いアルバムにはならなかったでしょう。ビートルズの「シーズ・ア・ウーマン」をレゲエのアレンジでカヴァーするあたりも、彼がプロデュースしていなければ、実現しなかったかもしれません。今聴いても全く古く感じない素晴らしい音質で、近年発売されたＳＡＣＤで聴くと、まるでレコーディングスタジオの中で、ジェフ・ベックをはじめとするプレイヤー達が目の前で演奏している様な錯覚に陥るほどの高音質です。

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■　ダイヤモンド・ダスト　■

　曲に対するイメージというのは人それぞれのイマジネーションによって様々だと思います。特に歌詞のないインストルメンタルナンバーなら、なお更だと思います。私の「ダイアモンド・ダスト」に対するイメージも極めて個人的なイメージだと思いますが、この曲を聴くと60年代後半から70年代にかけて作られたアメリカン・ニュー・シネマのヒーロー達の映像が思い起こされてきます。「イージー・ライダー」「いちご白書」「真夜中のカウボーイ」「ファイブ・イージー・ピーセズ」「バニシング・ポイント」「スケアクロウ」などなど・・・強い正義感や感性の豊かさ、繊細さゆえに社会の中で自分の居場所を見つける事ができずに、苦しみ、人知れず消えていってしまう主人公達のテーマ曲のように聴こえてならないのです。70年代に発表されたアルバムなので、当然70年代の空気が楽器の音色にも強く現れているのも要因の一つだとは思いますが、ジェフ・ベックという人の人間性が、アメリカン・ニュー・シネマの主人公たちと似ているからかもしれません。流れるような美しいメロディではなく、どこか不器用でギゴチないギターのフレーズ、マックス・ミドルトンのキーボードも、戸惑いながらフラフラ歩いてるような、いつもと違ったプレイをしていますし、ストリングスのアレンジが、強烈に悲壮感を高めています。ＳＡＣＤでこの曲を聴いていると、ＳＡＣＤの音質の良さも手伝って、知らないうちに涙が流れている事があります。

 

　 このアルバムも紙ジャケットシリーズが発売されましたが完売で、入手が困難になっています。中古で探しても、かなり高額になっています。紙ジャケットにこだわらなければ、国内盤、輸入盤どちらでもリマスター盤が発売されているので、音質的にはリマスター盤でも同じです。さらに音質を追及する方はＳＡＣＤがオススメですが、こちらも廃盤のため高額になっています。また、このアルバムのＳＡＣＤはハイブリッド盤ではないので、ＳＡＣＤ対応のＣＤプレイヤーが必要です。

 

◆購入ガイド◆

◆　ジェフ･ベック

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◆　ベック・ボガート＆アピス

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