ロックが蘇った
1987年ゲフィンレコードから発売されたガンズン・ローゼズのデビューアルバム。大ヒット曲『ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル』『スウィート・チャイルド・オブ・マイン
』『パラダイス・シティ』などの名曲を収録。全米ビルボードチャートで1位を獲得しています。
MTVで「スイート・チャイルド・オブ・マイン」のビデオクリップが放送されていたのをボンヤリと観ていたのですが、曲が進むにつれて、どんどん画面に引き寄せられていきました。曲のエンディングでアクセル・ローズがマイクのコードを手に巻きつけるシーンまで行くと全身に鳥肌がたちました。「こいつは本物だ!!!」確信を持って翌日すぐにアナログ盤を購入しました。演奏力、アルバムの音質に関して言えば、プロのレベルでは、平均以下でしょう。別に悪口ではありませんが、バンドの方針としてヴォーカル以外を1発取録りしている為、プレイにムラがあり、安定感に欠けます。まず最初に聴いたときの印象としては、パンク風でラフな作りのアルバムだなと感じました。しかし、それこそが、ガンズン・ローゼズの新しさでした。このアルバムが発売されるまでは、ハードロック系のバンドとパンク系のバンドは、全く別なジャンルで、お互いを嫌っているような傾向がありました。このアルバムはハードロック系のバンドがパンクの要素を取り込んだ最初のメジャーアルバムかもしれません。またスタジオライブに近い生々しい演奏も、新鮮な感動を与えてくれました。
アルバムのオープニングはガンズン・ローゼズのイメージを決定付けるような「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」ではじまり、ローリング・ストーンズを思い起こさせるようなルーズな「イッツ・ソー・イージー」と続き、スラッシュとイジーの、ブルースフィーリングたっぷりのギターソロが楽しめるポップな「ナイト・トレイン」。レッド・ツェッペリンのようなカッコイイギターのリフが印象的な「ミスター・ブラウンストーン」、ガンズン・ローゼズの楽曲の中で、最も重要なレパートリーの「パラダイス・シティ」「ロケット・クイーン」。そして、大ヒット曲「スウィート・チャイルド・オブ・マイン
」。ガンズン・ローゼズの代表曲がギッシリと詰まった傑作アルバムだと思います。
「スウィート・チャイルド・オブ・マイン 」は後に、シェリル・クロウもカバーして、映画『ビッグ・ダディ』にも使用されていますし、レコーディングはされていませんが、リンキン・パークがライブで演奏していることでも有名です。アクセル・ローズの気合の入ったヴォーカルは勿論、スラッシュのギターソロが、とにかく最高です。ギターソロの名演としてもロック史に残ると思います。あまりにも有名なソロなので、ギタリストの方なら、コピーした人も多いと思います。レコーディングした当初は、アクセル以外のメンバーは、この曲にあまり自信が無く、スラッシュも「あの曲のヒットは、まぐれ当たりだよ」と発言していましたが、アクセルは当時の恋人、エリン・エヴァリーのことを歌った歌詞なので、個人的な思い入れがあるそうです。ユーズ・ユア・イリュージョンの曲でも、エリン・エヴァリーに対して歌っていると思われる楽曲が多いので、彼女は、アクセルにかなり影響を与えていたと思います。以前インタビューで、アクセル本人が、ドアーズのジム・モリソンと、恋人のパメラの関係に例えて、「俺とエリンは、ジムとパメラの関係に似ているかもしれない、何があっても結局離れられないと思う」と発言していました。結局エリンとは離婚してしまいましたが、この曲は、アクセルのエリンに対する気持ちを歌った名曲で、エリック・クラプトンが恋焦がれるパティについて歌ったレイラと同様に、ロックファンに愛され続けていく名曲だと思います。