鷹の目を持つ男の才能は?
バーニー・リードンの旧友だったドン・フェルダーは、アルバム『オン・ザ・ボーダー』からイーグルスに参加し、イーグルスのサウンドにソリッドでロック色の強いギターサウンドをもたらし、後期のイーグルスサウンドに重要な役割を果たしています。バーニー・リードン同様に器用なプレイヤーで、マンドリン、バンジョーなどもこなしますが、何と言っても彼の存在感を強調しているのは、ハードなギタープレイ。初期のイーグルスは、カントリーバンドというイメージが強いバンドで、バンドの演奏力が弱かった為、あえてプロデューサーに、レッド・ツェッペリンなどのエンジニアで有名なグリン・ジョーンズを起用するなどして、自分たちの弱点である、ロックの荒々しさを補おうとしていましたが、ドン・フェルダーの加入によって、エッジの効いたギターサウンドを手に入れることができました。『オン・ザ・ボーダー』『呪われた夜』では、ひかえめなプレイをしていましたが、ジョー・ウォルシュが加入したからは、一気に彼の才能が開花し、今や伝説となっている『ホテル・カリフォルニア』でのギターソロなどの名演など、ジョー・ウォルシュと見事なコンビネーションを見せてくれました。元々ハードロック系のリフを得意とするジョー・ウォルシュの加入によって、彼のヘヴィーなギタープレイが刺激になったらしく、ジョー・ウォルシュの個性と、ドン・フェルダーの個性がぶつかり合う事によって、今までのイーグルスにはなかった攻撃的なギタープレイが生まれ、ウエストコースト・ロックのファンだけでなく、ギタープレイヤーからも注目されるロックバンドになりました。80年代には、映画『ヘヴィメタル』の為に曲を提供していましたが、残念ながらリード・ヴォーカルには自信がないらしく、目立ったソロ活動はしていません。再結成したイーグルスには参加していましたが、イーグルスを巡る権利を主張しすぎてクビになってしまい、現在ツアーにもレコーディングにも参加していません。
ロック色の強くなったイーグルスより、初期のカントリーフィーリングの強いサウンドが好きなファンにとっては、ドン・フェルダーは、戦犯扱いかもしれませんが、ルーズで田舎臭いイメージのあったバンドを、一流のロックバンドに成長させたという意味では、ドン・フェルダーの存在は大きかったと思います。バンド名のイーグルス=鷲のイメージに最も近い鋭い目つきも印象的なメンバーですし、クビになってしまったのは残念ですが、彼の鋭いまなざしは、イーグルスという莫大な富を生み出すバンドの権利を睨んでいたのかもしれませんね。
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