西部のアウトローとロックミュージシャン
デビューアルバムの大成功により、2作目の製作には資金的な余裕もでてきたようで、西部開拓時代のアウトローとロックミュージシャンには共通性があるという解釈から、コンセプトアルバムとしてレコーディングされました。このアルバムの歌詞は西部劇のアウトローを主人公にした歌詞で統一され、アルバムジャケットも西部劇のガンマンのようなスタイルの写真が使用されています。また、この当時では珍しい事ですが、西部劇のセットを使ったイメージビデオも製作されました。プロデューサーは前作と同様にグリン・ジョーンズが担当していますが、前作に比べてアコースティックギター、ヴォーカルの音が驚くほど良くなっています。
デビューアルバムとは全く変わったアルバムになったので、とまどったファンも多いと思いますが、歌詞の内容も、サウンドアレンジも格段に進歩しています。『テキラー・サンライズ』『ならず者』は、再結成後のツアーでも重要なレパートリーになっていますし、『イーグルス・ファースト』のような明るさはありませんが、アルバム全体の完成度は『イーグルス・ファースト』以上です。代表曲である『ならず者』にも負けないほどの名曲『ドゥーリン・ドルトン』『サタデイ・ナイト』『ビター・クリーク』などが収録され、音楽の中に深く沈みこんでいけるような快感を与えてくれるアルバムです。
やるせない苦しみに、どっぷり浸かりなさい
10曲目の『ビタークリーク』の歌詞の一節ですが、若者に向かって老人が語りかけます。略奪をする事でしか生活できない若者にとって、人生は苦渋に満ちたものでしかありませんが、あえて老人は若者にこの言葉をかけます。痛々しいほど研ぎ澄まされたアコースティックギターの音と、冷たい空気が流れるようなコーラスをバックに、この歌詞が歌われています。このアルバムを象徴するかのような名曲だと思います。
イーグルス詩集