ジェリー・マグワイアは、スポーツ・エージェント会社ＳＭＩのエージェントとして働いていたが、利益最優先で非人間的な自分の仕事に疑問を持ち、会社のスタッフ全員に、良心的な仕事への転換を呼びかけた提案書を配布する。しかし、そのせいで、彼はクビになり、彼が担当していたスポーツ選手も、ＳＭＩと契約を更新し、孤立してしまう。ジェリーの提案書に共感を持ったドロシーという事務員だけが、彼と共に仕事をすることになるが、ＳＭＩの妨害によって、クライアントは一人だけになってしまい・・・。

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　１９９６年アメリカ作品。監督は『あの頃、ペニーレインと』『バニラ･スカイ』などのキャメロン･クロウ、出演は『アイズ･ワイド･シャット』『ラスト･サムライ』の トム･クルーズ、『コールド･マウンテン』『ブリジット･ジョーンズの日記』のレニー・ゼルウィガー、『奇蹟の輝き』『パールハーバー』のキューバ･グッティング･ジュニア、『ホーリーマン』のケリー･プレストンなど。良心に目覚めたスポーツ･エージェントが現実の厳しさを乗り越え、真実の愛を見出す姿を描いたサクセスストーリー。

　ブルース･スプリングスティーン、ポール･マッカートニー、トム･ペティ、ザー･フー、ボブ･ディランなどの名曲をＢＧＭに、笑いと感動を楽しめるキャメロン･クロウ監督の恋愛映画の傑作です。良心に目覚めたスポーツエージェントが、営利至上主義の厳しい世の中に立ち向かって行く姿には現実の厳しさを痛感させられますが、非情な世の中に生きていても、人間性を失わずに生きていこうとする主人公の姿に共感できる方も多いと思いますし、子持ちのバツイチ女性と、エリート･エージェントのアンバランスな恋愛も繊細に描かれているので、恋愛映画としての感動も最高です。そして、キューバ･グッティング・ジュニアが演じるフットボール選手の家族への愛情が、コミカルに描かれていて、湿っぽいだけの恋愛映画ではなく、笑って泣ける娯楽作品としても上質な仕上がりになっています。誰にでもオススメできる名作ですが、特に、子供を育てながらがんばっているシングルマザーの方にオススメしたい作品です。

　ウエストコーストロックの代表的なバンド、イーグルスのメンバーであるグレン･フライも出演しています。ミュージシャンとしてだけでなく、マネージメントでも才能があると言われているグレン･フライがフットボールチームの役員として出演しているのは、ハマリ役かもしれません。出演シーンは短いものの、プロの役者と比べても遜色の無い演技で、驚かされます。そう言えば、８０年代の伝説的な人気ドラマ『マイアミ･バイス』にも出演していましたね。

僕らは、ゆがんだ冷めた世の中に生きている

　私たちは、正直者は損ばかりで、平気でウソをつくような人間が得をする世の中、他人を蹴落としてでも上に行こうとする人間が増えて、情の無い人間が増えてしまった世の中に生きています。もちろん、いい人間もたくさんいますが、人に裏切られてツライ思いをするのは、正直で誠実な人間ばかりのような気がします。

汚い仕事がイヤになった

　最近では、人を騙してでも利益を得ようとする仕事が少なくありません。それどころか、いかに人を騙すかというマニュアル、ビジネスモデルによって営業をしている会社も多くなっています。善意、良心の無い人なら、他人に損害を与えてでも自分だけ得をしようという仕事に満足できるかもしれませんが、良心のある人なら、そんな仕事に疑問を持ち、自己嫌悪に陥ってしまうの普通だと思います。汚い仕事に見切りをつけて、辞めるか、汚い仕事を続けるかは、良心の大きさで決まるのかもしれません。

サントラも豪華

　キャメロン･クロウ監督は、元々音楽評論家だった事もあり、かなりのロック通。この作品でもザー･フー、ブルース･スプリングスティーン、ポール･マッカートニーなどの名曲を効果的に使用し、作品の完成度を高めています。サウンドトラックアルバムも、音楽評論家が監修したオムニバス盤のような豪華なアルバムになっていて、往年のロックファンにとっては嬉しい選曲でしょう。この作品が好きな方はもちろんですが、ロックの名曲をまとめて楽しめるという意味で、ロックファンにとっても価値ある名盤だと思います。

★キャメロン･クロウ監督作品

●あの頃ペニーレインと

●エリザベス･タウン

●バニラ･スカイ

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