世界的な大ヒットとなったセカンドアルバムに続く第3作目にファンの多くレッド・ツェッペリンUと同じようなサウンドを期待していたはずですが、いい意味で見事に裏切ってくれました。このアルバムはアコースティックな曲が多く、ZEPのヘヴィなサウンドを期待していたファンを失望させたアルバムと言われています。ZEPファンで有名な渋谷陽一氏でさえ、最初にこのアルバムを聴いたときには失望したと語っておられました。しかし、一般の評価はともかく、実は、このアルバムをZEPのベスト盤として評価する人もかなり多いのです。
アーティストのレコーディングした時期の環境や精神状態がアルバムに強く反映されるのは、ごくごく自然な事で、それがアルバムの個性を生み出す重要な要素となるわけです。このアルバムの曲作りがウェールズ山中の山小屋でなされたために、アコースティック曲が多くなったのは当然の事だと思います。逆に、ハードロックバンドがアコースティックナンバーを多くアルバムに収録するという事は革新的だったと思いますし、ブルースロック、ハードロックを基盤にスタートしたZEPの音楽性を更に大きく広げる事になったのは、このアルバムがあってこそと言えると思います。
新たなる創造のはじまり
今や古典的な名曲「天国への階段」にも劣らないほどの名曲「タンジェリン」、映画「あの頃ペニー・レインと」でも使われている「ザッツ・ザ・ウェイ」などのアコースティックの名曲が多いアルバムですが、ZEPの代表曲の「移民の歌」、トリビュートアルバムでブラインドメロンがカヴァーした「アウト・オン・ザ・タイルズ」、「祭典の日」などのヘヴィな曲も収録されていますし、ブルースナンバーの名曲中の名曲「貴女を愛しつづけて」も収録されています。また2曲目のフレンズのストリングスの旋律は、まるでグリム童話の世界に引きずり込まれたような、禁断の森に迷い込んでしまったような不思議な世界に聴く者を導いてくれると思います。