夢のバンド最終章
1986年発表。レッド・ツェッペリンのギタリストだったジミー・ペイジとフリーのヴォーカリストだったポール・ロジャースというビッグネームが結成したスーパーバンドのセカンドアルバムにしてラストアルバム。『オール・ザ・キング・ホーシズ』『リヴ・イン・ピース』などを収録。全米ヒットチャート22位を記録しました。
ジミー・ペイジとポール・ロジャースを中心にしたスーパーバンドのセカンドアルバムですが、残念ながら本作でザ・ファームは解散してしまい、ザ・ファームの最後のアルバムになってしまいました。最初に聴いた時のイメージは、前作があまりにもインパクトが強かった為に地味な印象を受けたを覚えていますが、聴き込んでいくと、かなりの名盤です。若手の新人バンドと違って十分なキャリアのあるプロフェッショナルなメンバーが揃っているので、演奏力は勿論、作曲やアレンジに関しても完璧なのでハズレのアルバムになるわけがありません。ジミー・ペイジらしいギターリフが楽しめる『フォーチュン・ハンター』、キーボードのメロディラインが印象的なシングルカット曲『オール・ザ・キング・ホーシズ』、スケールの大きな『リヴ・イン・ピース』『スピリット・オブ・ラブ』など名曲が揃っています。難を言えば、2曲目の『キャディラック』だけは捨て曲なのか、酷く退屈な曲ですが、それ以外の曲は中々の秀作で構成されています。
前作『ザ・ファーム』では、1曲目『クローサー』のギターリフで狂喜したので、それに比べるとリフも地味でハードロック好きの私としては物足りなさも感じましたが、慣れるとやっぱりいいアルバムです。ポール・ロジャースはギターもキーボードも弾けるヴォーカリストなので、本作ではキーボードプレイヤーとしても才能を生かし、バンドのアンサンブルをカラフルにしてくれています。『オール・ザ・キング・ホーシズ』『リヴ・イン・ピース』『スピリット・オブ・ラブ』などでは特に効果的にキーボードが使われていて、曲の完成度が高くなっています。正直言ってギターのリフが弱いのは不満点として残りますが、全体的、曲の完成度の高さは前作以上で、なかなかの名盤になっていると思います。
いやー残念ですね。このメンバーでもうちょっとアルバムを創って欲しかった。まぁ、でも、やっぱりギターのリフを中心に個性的なハードロックをプレイするのが好きなジミー・ペイジと、じっくりとメロディを歌い上げるタイプのポール・ロジャースとでは、この辺が限界なのかもしれませんね。ポール・ロジャースは硬質なリフをバックにウギャーとかシャウトするタイプでは無いし、本作も全体的にはうまくまとめてありますが、7曲目の『フリー・トゥ・ラブ』では、ギターのリフに歌のメロディを乗せるのが辛そうな感じがして、この二人の共存の限界が感じられます。まぁ、しょうがないでしょう。
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