衝撃のビッグバンドがデビュー
1985年発表。レッド・ツェッペリン のギタリストだったジミー・ペイジ とフリー のヴォーカリストだったポール・ロジャースというビッグネームが結成したスーパーバンドのデビューアルバム。『クローサー』『ふられた気持ち』『ミッドナイト・ムーンライト』などを収録。全米ヒットチャート17位を記録しました。
レッド・ツェッペリンが解散、80年代に入ってカッコ悪いヘビメタやら商業主義の一発屋の音楽にウンザリしていたロックファンには驚くニュースが舞い込み、このアルバムを待ちわびたロックファンも多かったでしょう。何とジミー・ペイジとポール・ロジャースがバンドを結成するというんですから往年のロックファンは後期乱舞した事でしょう。このアルバムの国内盤は音楽評論家の渋谷陽一さんが担当していますが、渋谷さんもかなり興奮していました。世界一のヴォーカリストであるポール・ロジャースと、ロック界に最も影響を与えたレッド・ツェッペリンのギタリストが同じバンドで活躍するんですから、これは興奮するなという方が無理な話でしょう。私も興奮しました。で、一曲目から『クローサー』の強烈なリフで盛り上がり、全編に渡ってポール・ロジャースの卓越した歌唱力をジミー・ペイジのギターで楽しめるのですから、文句が出る筈がありません。レッド・ツェッペリンのように強烈なギターリフが楽しめる『クローサー』、60年代の大ヒット曲のカヴァー『ふられた気持ち』、ジミー・ペイジじゃなければ絶対に創れない独創的な『ミッドナイト・ムーンライト』などの名曲はもちろん、ヒットシングルの『レイディオ・アクティブ』や、バッド・カンパニーを思い起こさせるような『トゥギャザー』など名曲揃いの名盤です。
全体としてはハードロック色よりもブルースロックという感じのアルバムですが、ジミー・ペイジの才能が十分に生かされながらもポール・ロジャースのヴォーカリストとしての存在感を全面に出したバランスのいいアルバムだと思います。ジミー・ペイジお得意の印象的なギターリフばかりを全面に出してしまうと、ポール・ロジャースの歌唱力を生かせないんじゃないかと心配しましたが、ヴォーカルをメインに考えながら適度に印象的なギターリフを挿入しているので二人の個性がうまくからみあっています。そして、ビッグネームの二人に負けないほど優秀なプレイヤーであるベースのトニー・フランクリンとドラムのクリス・スレイドの存在感も抜群です。フレットレスベースのポワーンと膨らむようなトニー・フランクリンの個性的なベースの音も注目されましたし、ボンゾのようにパワフルでバンドのサウンドに躍動感を与えてくれるクリス・スレイドのドラムもとタイトで気持ちいいです。褒めすぎかなとも思いますが、これほどバンドメンバーの強烈な個性が生かされていて曲も秀作揃いというアルバムも珍しいですね。
このアルバムが発売された時は本当に嬉しかったのを覚えています。当時バンド活動をしていて、他のメンバーも全員このアルバムが好きだったので、このアルバムからライブで1曲だけカヴァーしようという事になったんですが、名曲の多いアルバムだったので4人のメンバーが全て違う曲をピックアップして話がまとまらず、結局演奏できなかったのを覚えています。私はドラマーだったので『クローサー』が演奏したかったんですけど・・・。
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